「津液(しんえき)」が不調になると起こること

漢方コラム

前回の記事では中医学の基本概念である「津液(しんえき)」についてお話ししました。
津液とは体内の血以外の水分のことで、その原料は飲食物の栄養分でしたね。

実はこの津液をさらに分解すると、「津(しん)」と「液(えき)」になります。
津とは陽性の水分のことで、粘りが少なく澄んでいて体表部を潤してくれます。

私達の体内は津のおかげで温度が一定に保たれています。
これは津が体内の余分な熱を、汗や尿として体外に排出してくれる働きを持つからです。

これに対し、液とは津より粘性が高く、体内をゆっくりと流れる体液です。
髄や骨などを潤し、体表部の目、鼻、口などの粘膜の潤いを保ちます。

このように津液は主に、全身を潤す機能を担っています。
このため津液が不調になってしまうと、身体の潤いが失われます。

これは外見からも気づくことができ、例えば、髪や肌のつやがなくなります。
さらに「津血同源(しんけつどうげん)」という言葉もあるぐらいで、
津も血も同じ「水穀の精微」から生成されています。

また津は血の働きを補完しているため、津液が不足すると、
血も消耗され、連鎖的に不調を引き起こしてしまいます。