精神疾患治療の漢方薬のひとつ、半夏厚朴湯【はんげこうぼくとう】って何?

漢方コラム

漢方では、心因性の身体症状は一般に『気』の失調として考えます。

身体症状に加え、気分の閉塞感や息苦しい感じ、喉に何かが詰まっている感じなどを訴える場合には、まず『気』の流れを整える働きを持つ(理)気剤を使用します。

半夏厚朴湯【はんげこうぼくとう】は半夏【はんげ】(カラスビシャクの根茎)・茯苓【ぶくりょう】(マツボトの菌核を輪切りにしたもの)・厚朴【こうぼく】(ホウノキの幹や枝の皮を乾燥させたもの)・蘇葉【そよう】(シソの葉)・生姜【しょうきょう】(ショウガの根茎)、の5つの生薬から構成されています。

半夏厚朴湯は消化管の蠕動運動を調節する代表的な気剤であり、咀嚼【そしゃく】・表情・嚥下【えんげ】・発声・蠕動【ぜんどう】などといった鰓腸【さいちょう】由来の臓器の閉塞感を改善します。

陰性症状に有効で、ストレスや抑うつ等を発散させる効果がある。また、精神不安や不眠の改善も期待されます。

気分がふさいでいる・中炙臠【いんちゅうしゃれん】(咽喉頭の異物感)・胸満や腹満(胸や腹が張って苦しい感じ)・動悸やめまいや嘔気などを伴う不安神経症・神経性胃炎・つわり・のどがつまっている感じ ・せき・しわがれ声・神経性食道狭窄症・不眠症、などといった症状の治療によく用いられています。