漢方における大切な考え方、『証』とは?
漢方においては独自の理論に基づき体質を診断するために、オリジナルの基準である『証』と『気・血・水(き・けつ・すい)』があります。
『証』とは簡単に言うとその人の体力や体質、症状や抵抗力の現れ方などの個人差を表すもので、体力や病気に対する抵抗力の基準と言えます。
漢方薬を処方する時は、本人が訴える症状や体格などから判断をします。なので、同じ症状でも自分と他人の体力や体質、症状や抵抗力の現れ方が違えば、処方される漢方薬は違ってきます。
自分がある漢方薬を服用していて、同じ症状だからといって他人に飲ませても効果が出ない可能性があるのは、こうした理由があるからです。
「虚実(きょじつ)」という考え方があります。
弱々しい感じの体力がない人の事を虚証と言いますが、具体的に言うと細くて顔色が悪くて、肌が荒れやすいです。また声が小さく細くて寒がりで、胃腸が弱く下痢になりやすいです。
抵抗力が高く体力がある人を実証と言いますが、具体的には筋肉質で体力があり、血色が良くガッチリしています。そして肌のツヤがあり声が太く大きくて、暑がりで胃腸が強いので便秘になりやすいです。
このように証は、薬を処方するにあたって重要なものさしとなります。葛根湯は風邪を引いた時に処方される事が知られていますが、葛根湯は比較的胃腸が丈夫で体力がある人に使うもので、胃腸が弱くすぐにおなかを壊すような人には処方しません。