漢方の方法も日本独自のもの

漢方コラム

漢方は古代中国で考案された理論を手本にしていますが、伝来してからは国内で独自に発達し、四診でも優れた功績を残してきました。
傷寒論や金匱要略をはじめとして、黄帝内経などの医学書も中国が起源ですが、日本では独自に研究する人たちが登場して、古方派や後世派などの流派が論争を繰り広げました。

腹診は日本で考えられたもので、中国の四診とは違った方式で行われ、海外でも注目されている分野になっています。
漢方薬に関しては、患者を統合的に調べて、八綱弁証などの考え方で体質を分析して処方します。

方剤は君臣佐使の理論で構成され、抑制的にも相乗的にも働くため、副作用が軽減される仕組みとなっています。
場合によっては西洋薬と一緒に処方できることがあるため、漢方の穏やかな効き目を引き出すためにも役立っています。

中医学と対比される日本の東洋医学の歴史は、飛鳥時代から奈良時代にかけて黎明期を迎え、医心方という医学書も完成させました。
室町から戦国時代にかけては、後世派の田代三喜や曲直瀬道三が活躍し、徳川家康は自ら漢方薬を調合したことも知られています。