生薬の難しさ

漢方コラム

生薬は取れる場所で違いがあるために、実際に使う場合には使い分けをすることが必要です。
使用する部位で違いがあることは、クコという植物の場合で考えると分かりやすくなります。
クコの果実は枸杞子という生薬で使われる一方で、根の皮は地骨皮という別の原料に変わります。

枸杞子は滋養強壮を目的にして使われますが、地骨皮の場合には解熱や血糖降下のために使用することになります。
ドクダミのように全草を使う原料があれば、甘草のように根の部分だけを使う種類もあるのは、長年の使用経験の中で安全で有益な部位を選んだ結果です。

加工の仕方で違いがあることは、人参や生姜の場合で明瞭です。
人参は加工法によって紅参や白参などと呼び名が変わるだけでなく、有効成分のサポニンにも違いが生じてきます。
日本の漢方では、単純に乾燥させた生姜はショウキョウと呼びますが、蒸して乾燥させると乾姜という別の生薬になります。
生姜の辛味成分は、加熱や貯蔵を繰り返すことで、ショウガオールを多く生産する特徴があります。
このようなことから、生姜よりは乾姜のほうが体を温める作用が強くなります。