漢方薬のお話、承気湯類【じょうきとうるい】について紹介します

漢方コラム

承気とは、身体を支える原動力である『気』を巡らせることを指しています。

飲食物が胃腸内に滞ったり、胃腸が閉塞したりしますと、消化管の蠕動運動【ぜんどううんどう】の調和が乱れます。

さらに脳腸連関により精神の異常にもつながります。

承気湯類に含まれる生薬には、胃腸の中の熱を排泄することによって胃腸の働きを取り戻す瀉下【しゃげ】作用があります。

また消化管運動が改善することによる向精神作用も示します。

承気湯類の構成生薬としては大黄【だいおう】・芒硝【ぼうしょう】・甘草【かんぞう】・桃仁【とうにん】・桂枝【けいし】・厚朴【こうぼく】・枳実【きじつ】といったものが配合されており、病気に対しての反応性の物差しである『虚実』で区別して使い分けます。

◦大承気湯:厚朴・枳実・大黄・芒硝を含み、4種の中では最も効果が強いです。
◦小承気湯:厚朴・枳実・大黄を含み、虚証が認められる場合に用います。
◦調胃承気湯:大黄・芒硝・甘草を含み、最も穏やかな作用を示します。
◦桃核承気湯:大黄・芒硝・甘草・桃仁・桂枝を含み、情緒不安定・物を投げる・家族にあたる・衝動買いをするといった症状がある場合に用いられます。

特に便通の異常である便秘と精神症状が共にある場合に服用すると高い効果が期待できます。