夏の不眠と更年期

こころの悩み

夜中の二時、三時にふと目が覚めてしまう。そこから寝つけないまま、朝を迎える。
「若いころは、こんなことなかったのに」――更年期の世代の方から、よく伺うお話です。
そして夏は、この夜中の覚醒がとくに強まりやすい季節でもあります。暑さ、寝汗、冷房。眠りをさまたげる要素が重なるためです。

漢方は「眠れない」をどう分けて考えるか

東洋医学では、不眠をひとくくりにせず、あらわれ方によって背景を分けて考えます。ご自身がどれに近いか、確かめてみてください。

寝つけない――気の高ぶり

布団に入っても頭が冴えている、考えごとが止まらない。日中の緊張やストレスによって気が高ぶり、下りてこない状態と考えます。
イライラ、胸の張り、ため息の多さを伴うことがよくあります。

夜中に目が覚める――陰虚と血虚

更年期の世代でもっとも多いのが、このタイプです。
漢方では、夜は「陰」が体をおおって眠りを支える時間と考えます。年齢とともに陰やうるおいが目減りしていくと、夜のあいだ熱を抑えきれず、体が目を覚ましてしまう。
ほてり、寝汗、口の渇き、手のひらのほてりを伴いやすいのが特徴です。
また、血が不足した血虚の状態でも、眠りが浅くなりやすいとされます。この場合は、動悸、不安感、めまい、髪や肌の乾燥を伴うことがあります。

眠りが浅い・夢が多い――心の消耗

夢をたくさん見て、眠った気がしない。漢方では、精神活動をつかさどるとされる「心(しん)」の消耗としてとらえます。
夏はもともと心に負担のかかりやすい季節とされてきました。暑さで消耗が進むこの時期に、眠りが浅くなるのには理由があるのです。

夏の夜を過ごしやすくする工夫

  • 冷房は「切る」より「弱く保つ」:タイマーで切ると、明け方の暑さで目が覚めます。26〜28度ほどで一晩つけておくほうが、眠りは安定しやすいものです
  • 風を直接あてない:体に風が当たり続けると、冷えと乾燥の原因になります。風向きを上向きに
  • 寝る一時間前に、ぬるめの入浴を:いったん上がった体温が下がる過程で、眠気が訪れやすくなります
  • 寝室の照明を落とす:就寝一時間前から間接照明に。スマートフォンの光は、とくに影響が大きいものです
  • 寝る前の水分は少量に:夜間のトイレで目が覚めることも。就寝前は一口程度にとどめます
  • 目が覚めたら、時計を見ない:「あと三時間しかない」と考えることが、さらに眠りを遠ざけます

陰を養うとされる食材

夜中に目が覚めやすい方には、うるおいを補うとされる食材をおすすめしています。

  • 白きくらげ、山芋、豆腐、豆乳
  • 黒ごま、くるみ、松の実
  • なつめ、ゆり根、はちみつ
  • 豚肉、貝類

なつめとゆり根を煮た温かいスープは、夏の夜の養生として古くから親しまれてきました。就寝の二時間ほど前に、少量いただくのがおすすめです。

漢方薬でのアプローチ

不眠に用いられる漢方薬は数多くありますが、「眠くなる成分が入っている」というものではありません。
高ぶった気を落ち着けるのか、うるおいを養うのか、血を補うのか。眠りをさまたげている背景に向き合うことで、結果として夜が過ごしやすくなっていくことを目指します。

すでに睡眠薬を服用されている方からのご相談もあります。自己判断で中断されることはおすすめしません。現在のお薬の内容を伺ったうえで、飲み合わせも含めてご提案いたしますので、お薬手帳をお持ちください。

まとめ――眠れない夜を、一人で数えないでください

眠れない夜は、時間が長く感じられます。そして「自分だけがこうなのだろうか」という思いが、いっそう眠りを遠ざけます。
けれど、眠りの変化にはその方なりの背景があり、体質を知ることでできることがあります。
ときわ漢方薬局では、お一人ずつ、しっかり時間をかけてお話を伺っています。夏の夜の過ごし方から、一緒に考えていきましょう。ご予約のうえ、ぜひ一度お越しください。お待ちしております。

ときわ漢方薬局へのご相談

眠りのお悩みについての漢方相談は、事前のご予約をお願いしております。
初めての方には、体質や生活習慣について約1時間かけて丁寧にお伺いします。
ご予約のうえ、ぜひ一度お越しください。お待ちしております。

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