上熱下寒とは?のぼせと冷えが同時に起こる原因と整え方
「顔は暑くてほてるのに、足先はひんやり冷たい」「冷房の効いた部屋にいると、なんだか体調がすぐれない」――夏なのに冷えを感じるこの状態、実は多くの方が抱えている「隠れ冷え」かもしれません。
東洋医学では、こうした状態を「上熱下寒(じょうねつげかん)」と呼びます。今回は、夏に増えるこの体質と、その整え方についてお話しします。
この記事を書いた人:薬剤師 岩本知章(ときわ漢方薬局/神奈川県藤沢市)
「上熱下寒」とは、どんな状態か
上熱下寒とは、その名の通り「上半身に熱がこもり、下半身が冷えている」というアンバランスな状態を指します。
本来、体は温かい気が上下をめぐることでバランスを保っています。ところが、ストレスや冷え、めぐりの滞りによって、熱が上に、冷えが下にと分かれてしまうと、のぼせと冷えが同時に起こるようになると考えられています。
「上寒下熱」との違い
上熱下寒と似た言葉に「上寒下熱(じょうかんげねつ)」があります。こちらは反対に、上半身が冷えて下半身に熱がこもる状態を指す言葉です。「上熱下冷」と書かれることもありますが、多くは上熱下寒と同じ「上がのぼせて下が冷える」状態を指しています。
こんなサインはありませんか
- 顔はほてるのに、足先は冷たい
- のぼせやすいのに、お腹や腰は冷える
- 冷房が苦手だが、暑さにも弱い
- 頭痛・肩こりと、下半身の冷えが同時にある
なぜ夏に増えるのか
夏は外気が暑いため、体は上半身に熱がこもりやすくなります。一方で、冷房・冷たい飲み物・薄着によって、下半身はどんどん冷やされていきます。この「上は熱く、下は冷たい」という環境そのものが、上熱下寒を招きやすくしているのです。
とくに更年期の方や、もともと冷えやすい体質の方は、このアンバランスが強く現れやすいと考えられています。
上熱下寒を整える養生のヒント
ポイントは「下半身を温め、上半身の熱を巡らせる」こと。上下のバランスを取り戻す工夫を意識してみましょう。
- 下半身を温める:足首を冷やさない、湯船に浸かる、腹巻きを使うなど、下半身の温かさを保つ工夫を。
- 首・肩をゆるめる:上半身の熱は、こりで滞りやすくなります。肩や首を軽く動かして巡らせましょう。
- 冷たいものを控える:のぼせるからと冷たいものを摂ると、下半身の冷えが強まります。常温を意識して。
- 深い呼吸で気を巡らせる:ゆっくりした呼吸は、上に偏った気を落ち着けるのを助けます。
漢方薬というアプローチ
上熱下寒は、養生だけでは整えにくいことも少なくありません。上の熱を鎮めつつ下を温める、めぐりを助けるなど、上下のバランスに働きかける漢方薬があります。
のぼせと冷えが同時にあると、どう対処してよいか迷いがちですが、体質を丁寧に見極めることで、無理のない形で整えていくことができます。気になる方はまずはご相談ください。
体質によっては、例えば加味逍遙散(かみしょうようさん)や温経湯(うんけいとう)などの漢方薬が検討されることがあります。ただし、のぼせと冷えの原因は人によって違い、同じ処方がどなたにも合うわけではありません。ほかに飲んでいるお薬がある方も、薬剤師にご相談ください。
受診の目安
のぼせや冷えに加えて、次のようなときは、まず医療機関を受診しましょう。
- 動悸、汗が多い、体重が急に減るなどがある(甲状腺の病気などのこともあります)
- 生理の乱れやホットフラッシュなど、更年期の症状がつらい(婦人科へ)
- 頭痛やめまいが強い、血圧が高いと言われている
よくある質問
上熱下寒は夏だけのものですか?
いいえ。冬の暖房の効いた部屋や、更年期の時期など、季節を問わず起こることがあります。夏は冷房や冷たい飲み物で下半身が冷えやすいため、とくに感じやすい季節です。
のぼせるときは、冷たいものをとってもいいですか?
一時的に顔や首を冷やすのはかまいませんが、冷たい飲み物や食べ物をたくさんとると、お腹や下半身の冷えが強まることがあります。飲み物は常温か温かいものを選びましょう。
まとめ――のぼせと冷えは、つながっている
「暑がりなのに冷える」という一見矛盾した状態も、東洋医学の視点では一つのアンバランスとして読み解くことができます。上と下のバランスを取り戻すことが、夏を心地よく過ごす鍵になります。
ご自身の体質を知り、この季節との付き合い方を一緒に見つけていきませんか。ときわ漢方薬局が、じっくりお話をお伺いします。
ときわ漢方薬局へのご相談
のぼせと冷え(上熱下寒)についての漢方相談は、事前のご予約をお願いしております。
初めての方には、体質や生活習慣について約1時間かけて丁寧にお伺いします。
ご予約のうえ、ぜひ一度お越しください。お待ちしております。





