立秋からの養生
八月七日ごろは、二十四節気の立秋(りっしゅう)にあたります。
暦の上では、この日から秋が始まります。とはいえ実際の藤沢はまだ真夏の日差しの中。「秋なんてとても」と感じられる方がほとんどでしょう。
けれども漢方の養生では、この暦のずれこそが大切な意味をもちます。体は、季節が変わってから慌てて備えるのでは間に合わないからです。
暦と体感が、ずれている理由
なぜ真夏に「秋支度」を始めるのか
東洋医学では、季節ごとに負担のかかりやすい臓腑があると考えます。秋に対応するのは肺(はい)。呼吸器だけでなく、皮膚やうるおいの巡り、外からの刺激に対する防御のはたらきまでを含む、広い概念です。
そして肺は、乾燥をたいへん嫌う臓とされています。
夏のあいだ大量の汗をかいた体は、気づかぬうちにうるおいを失っています。この状態のまま秋の乾いた空気を迎えると、喉のイガイガ、空咳、肌のかさつきといった不調につながりやすくなると考えられています。
つまり、秋の不調のもとは夏のうちにつくられている。だからこそ立秋という節目が、養生の切り替えどきになるのです。
立秋からの食養生――「白い食材」でうるおいを
漢方では、白い色の食材が肺をうるおすとされてきました。八月の後半から、少しずつ食卓に取り入れてみてください。
梨
熱をさましながらうるおいを与えるとされる、この時期の代表格
白きくらげ
乾物なので常備しやすく、スープやデザートに少量ずつ
山芋
気を補い、うるおいも与えるとされる食材。すりおろして、あるいは焼いて
れんこん
喉のうるおいに用いられてきました。きんぴらや炊き合わせで
豆腐・豆乳
手軽にうるおいを補える食材。冷やしすぎないことがポイント
ゆり根
肺をうるおし、気持ちを落ち着けるとされます
まだ暑いこの時期は、冷たいまま食べたくなるもの。けれど胃腸を冷やしすぎると、せっかくの栄養を取り込む力そのものが落ちてしまいます。常温、あるいは軽く火を通すことをおすすめしています。
この時期に気をつけたい三つのこと
注意 01
汗のかきすぎ
漢方では、汗とともに「気」も漏れ出ていくと考えます。日中の激しい運動は控えめに。汗をかいたあとは、水分と少量の塩分・ミネラルも補いましょう。
注意 02
朝晩の気温差
八月下旬になると、朝晩にわずかな涼しさが混じります。寝るときの掛けものを一枚、朝の外出に薄手の羽織りものを。それだけで負担は変わります。
注意 03
就寝時刻の後ろ倒し
秋に向けては、少しずつ寝る時間を早めていくのが古典的な養生です。まずは十五分から。夜のスマートフォンを一区切りつけるだけでも変わります。
秋に不調が出やすい方へ
毎年、秋になると決まって喉を痛める。肌の乾燥がつらくなる。理由もなく気分が沈みやすくなる――。
そうした「毎年のこと」には、その方なりの体質的な背景があることが多いものです。東洋医学では、悲しみや寂しさという感情も、肺と関わりが深いものとしてとらえてきました。
漢方薬は、うるおいを養うことを軸にするのか、気を補うことを軸にするのか、めぐりを整えることを軸にするのか、体質によって選ぶものが変わります。
症状が出てから慌てるよりも、まだ余裕のあるこの時期にご自身の体質を知っておくことに、大きな意味があります。
まとめ――季節の変わり目は、体を見直す好機です
立秋は、暦だけが先を行く不思議な節目です。けれど、その「先取り」こそが漢方の養生の考え方そのものでもあります。
まだ暑いうちから、静かに秋の準備を。そして毎年の不調に心当たりのある方は、この機会にご自身の体質と向き合ってみませんか。
お一人ずつ、しっかり時間をかけてお話を伺います。ご予約のうえ、ぜひ一度お越しください。お待ちしております。
ときわ漢方薬局へのご相談
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